森林を守る仕事

森林の未来を想う。

健全な森林は、山崩れなどの災害から
私たちの暮らしを守っています。
でももし、森林に元気がなかったら‥
私たちが、日々山に入る理由はここにあります。

林業とは?

林業は、苗木を植え育て、育成した樹木を伐採して収穫し、販売する産業です。収穫後は、苗木を植え新しい木を育てます。土壌を整え、苗木を植え、草を刈り、枝打ちと間伐を行いながら樹齢40~50年まで育てるのが一般的です。

太良町森林組合ではこの一連の作業を行い、町内全域のすべての森林整備を行なっています。

山に感謝し、森林を守る仕事。

太良町森林組合では「森林整備・管理事業」と「木材の加工事業」を行っています。メインは「森林整備・管理事業」で、私たちは独自の考えのもと「日本一の山づくり」を目指しています。生産性や効率を追うのではなく、山に寄り添うことを第一としています。この積み重ねが、森林の機能を守り、災害リスクを抑え、持続可能な街や未来の構築につながると考えています。

太良町森林組合の仕事の特徴

  • 間伐
    太良町森林組合では「森林整備・管理」において、伐採は皆伐ではなく「間伐」を行っています。計画的に過密な木を間引き、森の成長を促し、良質な木材の生産を行っています。
  • 架線集材
    太良町森林組合では、「間伐」で伐採した木材の搬出は、森林に架線(ワイヤー)を張って行う「架線集材」という方法で行っています。この手法により、なるべく森林の機能を壊さないよう丁寧な作業に取り組んでいます。
  • これまでの歩み
    昭和54年~枝打ち100万本運動
    平成26年~多良岳200年の森事業(樹齢200年生を目指す)
    平成28年~多良岳壮樹の森事業(樹齢100年生を目指す)

太良ならではの「森林整備・管理事業

多良岳200年の森事業

人工林で育つ樹齢40~50年のスギ・ヒノキを樹齢200年まで育てる計画で、太良町とともに取り組んでいる事業です。木の寿命は2,000年以上あるといわれますが、林業では通常樹齢40~50年で収穫されています。私たちは、この収穫期にあえて伐らずに育て、樹齢の長い木を育てています。木は樹齢が長くなると、幹が太くなり、木材は1本の原価が高くなります。また、計画的に間伐を行うことで、山の所有者へ継続的な中間利益をお渡しすることができます。さらに、木が育てば、健全な森林が守られ、この先も水を育み、山崩れなどの災害リスクから人々の暮らしを守ることができると考えています。

スクロールできます
樹齢樹高幹の直径
一般的な収穫時期40〜50年20m30cm
多良岳200年の森事業で目指すもの200年40m1m
樹齢200年は幹が太く、1本の原価が高くなる(主に自社仏閣で利用される)

実現のために

高樹齢の木を育てるには、長期的な目線での「間伐」が必要になります。これは、森林の中で密になっている木を計画的に間引き、1本1本の木の成長を促す作業で、少しずつ行っていく必要があります。「間伐」が行き届くと、森林の中で太陽の光が木の根元まで差し込み、木が永く、元気に育ちます。

2020年1ha 約800本
2170年1ha 約100本

※台風など風の影響により木が倒れないように段階的に間引きます。

背景

林業は、太良町の大切な産業のひとつです。しかし、木材の出荷価格は、戦後、世界情勢などにより変動し、価格の暴落に悩み続けた時代がありました。

また、森林所有者の高齢化や後継者不足により、林業の経営がなりたたないという事態が日本全国で拡大しつつあります。

そうした中で、私たちは多良岳山系が、土質や気象条件にも恵まれていて、長伐期材を育てるのに適していることに着目しました。また、今後の林業を見据え、市場価格に左右されない「ブランド材」の生産に力を入れることが必要だと考えました。

このような背景から、私たちは「多良岳材」という質の高い木材の生産をスタートし、平成26年からは「多良岳200年の森事業」にも着手しました。これは、樹齢が長い「長伐期大径材(樹齢が長く幹が太い木材)の生産を目指し、「多良岳材」よりさらに高品質な木材生産を行うとともに、太良町とともに地域一体となって、町のシンボルとして森林を育て、地域の活性化につなげていくことを目指しています。

目的

  • 長伐期大径材の生産
  • 水源かん養(すいげんかんよう)
  • 災害リスクの軽減
  • 町のシンボル(地域活性)
  • 生物多様性の保護
#長伐期大径材(ちょうばっきたいけいざい)とは?

一般的な人工林では樹齢40~50年で伐採されることが多いが、これをおおむね2倍以上に樹齢を伸ばし、幹の太い木材の生産を目指すこと。木材の価値が上がる他、森林本来の機能が長期にわたり、安定的に維持されるメリットがある。

多良岳200年の森では、200年生まで育てる木にしるしを付けて管理をしている。

#水源かん養(すいげんかんよう)とは?

森林が水を蓄え、育み、守る働きのこと。この森林の機能が発揮されると、大雨が降っても川がすぐには溢れず、日照りが続いても、川の水がすぐにはなくならない。「多良岳200年の森」を育てることで、健全な森林が育ち、この「水源かん養」の機能を継続的に発揮できるようになる。

天然乾燥による「木材の加工事業」

太良町森林組合には独自の製材所があります。この「多良岳材加工施設(令和2年完成)」では、多良岳山系の高品質木材の供給を目指しています。

特徴1 天然乾燥
昔ながらの天然乾燥にこだわり、時間をかけて乾燥させています。天然乾燥は、木本来の良さを引き出すので、色、つや、香りよく仕上がります。

特徴2 オーダーメイドに対応
森林を知り尽くした私たちが、生産から加工まで行うため、使用目的にあった木材のご提案が可能です。大きさやロット数(量)など、オーダーにお応えできます。

今後の展望

新しい挑戦として「家づくり」へのチャレンジも進めています。木にこだわるのではなく、森にこだわる家づくりです。大工さんや工務店さんなど、それぞれの分野のプロフェッショナルと連携を強め、日本でも珍しい「家づくり」を目指します。

イラストで見る、太良町森林組合の仕事。

①選定

土地に合った樹種・品種の苗木を選ぶ。

②植栽

苗木を植え付ける。

③下刈り

木の下層部に生える雑草や雑木を除去する。

④枝打ち(えだうち)

木の幹から枝を切り落とす作業。枝打ちを早期に行うことで、まっすぐで節目のない良質な木材になる。

⑤間伐(かんばつ)

木の成長に合わせ定期的に木を間引き、残った木の成長を促す。

⑥製材

伐採した丸太を加工し建築材や家具材として出荷。